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《こんなおとなしい小娘に、何ができるのかと、はじめて会った時は不安を感じたが、だんだん付合っているうちに、シンの強い人間であることがわかって来た。そのことについては後にお話しするが、ここに掲げた作品をみてもわかるように、よほど辛抱強くなくては、こんなに手の込んだ染めものが造れる筈はない。いつか京都の染物屋さんに見せたところ、「わい等はようせん。馬鹿々々しうて商売にならん」と、一言のもとにはねつけられた。たしかに商売にはならんであろう。ならんからといって、やさしい仕事をしていていい筈はない。染めものがむつかしいといったのは、そういう意味で、どんな風にでも手が抜けるし、技術があればある程、ごまかすことができるからである。そういうことでは、古澤さんも、度々口惜しい思いをされたに違いないが、二十何年かすぎた今日でも、自分の信念を絶対に曲げないのは立派だと思う。
彼女の染めものが美しいのは、その方法がまったく独自のものだからである。型紙も自分で彫るし、むろん絞りも自分でくくる。あらかじめ下絵を描くこともせず、いきなり白生地に向って、仕事をしながら造って行くのが彼女のやり方で、すべて即興で行っているといっても過言ではない。》
(「即興の詩──古澤万千子」より) |
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