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《関野さんは、個展でさえ二年に一度の割合だから、知る人は殆どいないかもしれない。けれど、私は関野さんを、現代の“漆芸”では一番の人だと思っている。
関野さんは、黒田辰秋さんの弟子である。初体面は、今から二十五年ほども前。当時、私は黒田さんについて書く必要があって、京都のお宅へ何年も通いつづけていた。その仕事場の隅っこで、螺鈿をやっている彼に出会ったのである。が、彼がお弟子さんでいるあいだは、口をきいたことさえなかった。
関野さんは、とても謙虚な人である。黒田さんに似てはいけない、先生の真似になってはいけない、と固く心に決めていて、螺鈿でもその他の漆芸でも、作風は、黒田さんとまったく違う。》
(白洲正子「貝の箱 関野晃平」より) |
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